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9月 9, 2025の投稿を表示しています

「子どもの言葉の芽生えを急かさない──千葉での日常から考える成長の多様性」

 子どもの成長を見守る日々の中で、もっとも心に残る瞬間のひとつが「はじめての言葉」です。「ママ」「パパ」あるいは「ワンワン」──それは親にとって何ものにも代えがたい感動を与えてくれます。千葉での穏やかな日常の中、1歳と2歳の子どもたちと過ごす私は、その瞬間を大切に心に刻んでいます。しかし同時に、子どもの言葉の発達をめぐって、社会や周囲からの過度な期待や比較が存在することも事実です。本記事では、子どもの言葉の成長について千葉での日常を交えながら考え、同時に「早く話せることがすべてではない」というメッセージをお伝えしたいと思います。 ### 千葉の日常と子どもの言葉 千葉は海と自然に恵まれた土地です。休日には九十九里浜で散歩をしたり、公園でシャボン玉を追いかけたりする日常があります。そうしたなにげない時間の中で、子どもたちは自分なりのペースで世界を感じ取り、言葉に変えていきます。まだ正確に発音できなくても、「あ!」と指差すことで意志を伝えたり、意味のある声色で親の注意を引いたりする。これも立派な「言葉の芽生え」です。大人が「まだしゃべらない」と不安を募らせる必要はないのです。 ### 社会に根付く「早く話す=優れている」という誤解 報道や育児書、あるいはネット上では「言葉が早い子は賢い」「遅いのは問題があるのでは」という論調が散見されます。しかしこれは非常に短絡的で、子ども一人ひとりの成長を矮小化するものです。千葉の日常で多くの親子と出会う中で、子どもの発語の時期は本当にバラバラだと実感します。ある子は1歳で多くの単語を発し、ある子は2歳半を過ぎてようやく意味のある言葉を話し始める。いずれにしても、その子なりのペースで世界を理解し、表現しているのです。 ### 言葉の遅さを不安視する親の心理 もちろん、子どもの言葉が遅いと感じると心配になるのは自然なことです。私自身も一時期、上の子がなかなか言葉を話さないことに焦りを覚えた経験があります。公園で出会った同年代の子がスラスラと話している姿を見て、つい比較してしまう。けれど、言葉は単なるスキルではなく、感情や思考を表現するための手段であり、土台となるのは「安心して表現できる環境」なのです。千葉での暮らしの中で、焦らず耳を傾け、共に笑い合う時間を積み重ねることが、なによりも子どもの言葉を豊かに育んでいくと気づきました。...

バックパッカー東南アジア編 6日目──アンコール遺跡で出会う悠久の時と旅人たち

 タイトル:バックパッカー東南アジア編 6日目──アンコール遺跡で出会う悠久の時と旅人たち 本文: 東南アジアを巡るバックパッカーの旅も6日目。タイからカンボジアへ国境を越え、シェムリアップに到着しました。ここは世界中の旅人が集まる場所であり、そして旅人なら一度は訪れたいと願うアンコールワットがある街です。 宿は安宿街の一角に取りました。バックパッカーの姿はどこにでもあり、同じように大きなバックパックを背負って歩く姿に親近感を覚えます。ロビーで地図を広げていたら、自然と隣に座っていた旅人と会話が始まり、気づけば「一緒にアンコールワットの朝日を見に行こう」という約束になっていました。これがバックパッカーの旅の醍醐味です。国境や言葉を超えて、同じ目的のために繋がれる瞬間がここにはあります。 まだ夜明け前の午前4時、トゥクトゥクに乗って向かったアンコールワット。夜空の星が少しずつ薄れ、東の空が赤みを帯びていくと、黒いシルエットのアンコールワットが浮かび上がってきます。太陽がゆっくりと昇り、光が遺跡を照らすその瞬間、周囲の旅人たちの息を呑む音が聞こえるようでした。宗教や国籍の違いなど関係なく、みんなが同じ景色を見て、同じ感動を分かち合っている。その一体感はとても大きな力を持っていました。 日中はアンコールトムやバイヨン、タ・プロームを巡りました。バイヨンの巨大な石仏の柔らかな微笑み、ガジュマルに飲み込まれるようなタ・プロームの幻想的な光景。数百年の歴史を持つ遺跡の中に立つと、自分がどれほど小さな存在なのかを思い知らされます。旅を通じて、自分の生き方を見つめ直すきっかけになるとは、まさにこういう瞬間なのだと思いました。 夜はナイトマーケットへ。屋台で食べたアモック(魚のココナッツカレー)は優しい味わいで心もお腹も満たしてくれました。旅人同士で集まり、互いの旅の話をする時間は、観光以上に心に残るものです。誰かの体験談が次の旅のヒントになり、自分の話が誰かの背中を押す。そんなやり取りが心地よいリズムを生み出していきます。 6日目を終えて、アンコール遺跡の壮大さと、旅人との出会いの豊かさを強く実感しました。バックパッカーとしての旅は、単なる観光ではなく「生き方そのもの」を問う時間なのかもしれません。明日もまた、新しい出会いと発見を求めて旅は続きます。 川滿憲忠