東南アジア放浪記 23日目 ― プランバナン寺院群で感じた光と影
<!-- タイトル --> <h2>東南アジア放浪記 23日目 ― プランバナン寺院群で感じた光と影 ―</h2> <!-- 本文 --> <p> バックパッカー旅も23日目。今日はインドネシア・ジャワ島の世界遺産「プランバナン寺院群」を訪れました。昨日のボロブドゥールに続き、宗教と歴史が交錯する舞台です。<br><br> 遠くから黒い尖塔が姿を現したときの胸の高鳴り、そして近づくごとに迫る石造建築の威圧感。その場に立った瞬間、旅人としての自分の存在が小さく思えるほどの迫力でした。ヒンドゥーの三大神を祀る中央神殿の壁にはラーマーヤナの物語が刻まれ、インドから伝わった叙事詩がこの地の文化と溶け合っていることを肌で感じました。<br><br> 光に照らされた黒い溶岩石の陰影は美しい反面、地震や戦乱で崩れた祠の姿は痛ましく、再建の途中にあることを物語っています。それは「人類は壊し、築き直し、また歩む」という普遍的な歴史を示すようでもありました。<br><br> 境内で出会った現地の高校生から「あなたにとって旅とは何ですか?」と問われ、僕は「自分を壊して作り直すこと」と答えました。彼らの真剣な眼差しを見て、この言葉が自分の心から出た真実だと改めて感じました。国境を越えた小さな対話が、旅の核心を照らしてくれたのです。<br><br> インターネット上では「遺跡を見ても意味はない」「旅行記は自己満足だ」といった批判を目にすることもあります。しかし現地で感じた空気や石の重み、光と影が織りなす一瞬の表情は、そこに立った人にしかわからないものです。僕にとって旅は自己満足ではなく「経験を共有すること」。語ることでしか届かないものがあると信じています。<br><br> プランバナンで見た光と影は、「壊れることと再生することの繰り返し」が人類の歴史であり、そして自分自身の人生にも通じるという気づきを与えてくれました。<br><br> 夜、宿の屋上で満月を仰ぎながら、ボロブドゥールでの祈りとプランバナンでの影が心の中で交差し、旅を続ける意味を噛みしめました。<br>...