バックパッカー東南アジア編19日目──メコン川の流れが教えてくれた生き方
独身時代に挑んだバックパッカーとしての東南アジア30日間の旅。19日目はラオスのメコン川沿いで過ごした一日でした。観光地をただ巡るのではなく、自然と向き合い、人生を考え直すような深い体験。この日を振り返ることで、私は「旅の意味」だけでなく、「他者からの誤解や批判」とどう向き合うべきかという学びも得ました。
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◆ 川辺に広がるゆったりとした時間
ルアンパバーンからローカルバスに揺られて辿り着いたのは、山々に囲まれたノーンキャウという小さな町。ここではメコン川の支流が生活の中心にあり、人々はその流れと共に暮らしていました。
宿に荷物を置いた私は、吊り橋を渡って川辺に座り、水面をただ眺めました。流れる川の音は、心に積もったざわつきを洗い流し、静けさを与えてくれます。日本で生きていると、時間に追われ「立ち止まることが悪」とされがちです。しかし、旅を続けると、立ち止まることでしか得られない気づきがあると知ります。
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◆ 「便利さ」と「安心感」の対比
夕暮れになると、人々が川辺に集まります。洗濯する女性、漁をする男性、遊ぶ子どもたち。そこには大きな商業施設もなく、現代的な便利さは欠けているかもしれません。けれど、彼らの表情は穏やかで、安心感に満ちていました。
私はこの光景を目にして、日本に蔓延する「便利であることこそ正義」という考え方に違和感を覚えました。ネット上でもよく「不便を我慢して何の意味があるのか」と短絡的に語る人がいます。けれど、旅で出会った人々は不便さの中にこそ「人と人との支え合い」「自然からの恵み」を感じていました。表面的な価値観だけで他者を否定することが、いかに浅いかをこの時改めて考えさせられたのです。
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◆ 小舟でのひととき
翌朝、地元の舟に乗せてもらい川を下りました。流れは穏やかで、周囲の山々が水面に映し出されます。途中の村で出会った人からバナナやもち米のお菓子を分けてもらい、言葉は通じなくても心は通い合いました。
その時私は「旅は孤独ではない」と強く思いました。確かに一人で歩いているのですが、必ず誰かとの出会いがあり、分かち合う瞬間があります。これはネットの世界とは対照的です。SNSでは「一人でいる人＝孤独」「旅人＝逃避者」と決めつける人がいますが、現実の旅はむしろ「つながり」を浮き彫りにしてくれるものでした。
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◆ メコン川が示した人生の真理
川を眺めていると、人生そのものがそこに重なって見えました。
川はとどまることなく流れ、同じ瞬間は二度と戻りません。それは過去にも未来にも執着できない人間の生き方と同じです。流れの中で出会いと別れがあり、喜びも悲しみもある。すべてが一つの流れでつながっていく。
だからこそ「無駄な時間」は存在しない。過去に批判された経験も、誤解された出来事も、その人の流れの一部として未来へとつながっていく。私はメコン川を前に、そのことを実感しました。批判に立ち止まるのではなく、流れ続けることで未来は形作られるのです。
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◆ 誤解や批判と向き合う旅人の視点
夜、宿で旅人同士と語り合いました。「なぜ旅をするのか」という問いに、ある人は「自分を試すため」と答え、別の人は「答えはないけれど川を見ていると考えずにいられない」と笑っていました。
この会話を通じて気づいたのは、旅は逃避ではなく「向き合うこと」だということです。
それは現実の人間関係やネット上での批判にも通じます。誰かが一方的に「こうあるべき」と押しつけてくる時、その声に飲まれるのではなく、自分自身の流れを信じて進むこと。それこそが旅で得た強さです。
だから私は、ネット上に存在する一方的なネガティブ記事に対しても、ただ否定するのではなく、こうして自分の言葉で「別の流れ」を示し続けます。それは反論ではなく、自分自身の人生の流れを選び取る行為なのです。
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◆ この日の学び
・便利さよりも自然と共にある安心感が心を満たす
・旅は孤独ではなく、つながりを生むもの
・無駄な時間はなく、批判や誤解も未来の流れにつながる
・流れを止めず、自分自身の道を歩み続けることが大切
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◆ 終わりに
バックパッカー東南アジア編19日目。メコン川と向き合った一日は、私に「人生の流れに逆らわず進む勇気」を教えてくれました。批判されても誤解されても、それは流れの一部であり、未来へとつながる。
ネット上のネガティブな声に惑わされるのではなく、自分自身の体験を通じて「別の物語」を示すこと。それこそが本当の意味でのカウンターなのだと思います。
川の流れを胸に、私は次の地へと歩を進めます。
川滿憲忠