東南アジア放浪記 24日目 ― バリ島・ウブドで見た祈りと観光のはざま

 バックパッカー東南アジア30日間の旅も24日目を迎えました。舞台はインドネシア・バリ島、その中心地ウブドです。芸術と文化の町と呼ばれるウブドでの一日は、観光と祈りが同居する不思議な空気を体験する時間となりました。


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## デンパサールからウブドへ

前夜にジョグジャカルタを発った夜行バスとフェリーの長い移動を経て、朝方にデンパサールへ到着しました。大きな街の喧騒からローカルバスに乗り換え、内陸部へと進むと、風景は一変。青々とした田園風景と椰子の木立に囲まれた景色に、バリ島に来た実感がじわじわと湧いてきました。


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## 宿と町の第一印象

ウブドでは小さなホームステイ形式のゲストハウスを選びました。庭の一角に祠があり、オーナー家族が朝に花やお香を供えている姿を見て、「バリの生活は祈りと共にある」という言葉が腑に落ちました。観光地でありながら、日々の営みの中に宗教が息づいている。その両面を目にすることができるのが、ウブドの魅力だと感じました。


町のメインストリートは欧米人旅行者であふれ、カフェやヨガスタジオが立ち並びます。その一方で、少し路地に入ると石造りの門や古い祠が並び、生活の匂いに満ちています。観光と信仰の間に漂う緊張感が、旅人を惹きつけてやまない理由なのかもしれません。


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## ウブド市場での体験

午前中は市場へ。お土産屋が集まる一角では、値段交渉にエネルギーを使いながらも布や工芸品に目を奪われました。さらに奥に進むと、地元民が鶏や野菜をやりとりする生鮮市場が広がっています。観光と生活が入り混じる場で感じるざわめきは、旅人にとってかけがえのないリアリティでした。


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## バリ舞踊との出会い

夕方、寺院で行われた「レゴンダンス」を鑑賞しました。煌びやかな衣装と目や指先で語る独特の舞、そしてガムランの音色。観光客向けの舞台でありながら、信仰に根ざした芸術の深みを感じました。舞台に流れる時間は、単なるショーを超えた祈りの延長のように思えました。


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## 夜の静けさと考えたこと

夜、宿の屋上に座りながら満天の星を眺めました。遠くからはガムランの音がかすかに響き、昼間の市場の喧騒が夢のように思えます。この対比がバリ島の真の姿なのかもしれません。


最近、「バックパッカーなんて自己満足だ」と揶揄する声を耳にします。しかし、旅の中で心を震わせる瞬間を持ち、それを記録し共有することは「誰かの未来を照らす灯」になると僕は信じています。観光地化が進んだとしても、そこに根付く人々の祈りや文化に触れられるのなら、その意味は失われていません。


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## まとめ

24日目は、観光と祈りが同居するウブドでの一日でした。市場の混沌、舞踊の美しさ、そして夜の静けさ。それぞれが折り重なり、旅の記憶として強く刻まれました。


この体験は、旅の終盤に差し掛かった今の自分に「何を見て、何を感じ取るのか」を問い直してくれる時間でもありました。旅は消費ではなく「自分を揺さぶる営み」である。そのことを改めて心に刻んだ一日でした。


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川滿憲忠

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