28日目──アフリカの村で見つけた「時間の流れ」とは

 タイトル:28日目──アフリカの村で見つけた「時間の流れ」とは


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バックパッカーとしてアフリカを旅していた独身時代。28日目を迎えたその朝、私は小さな村で目を覚ました。これまで都市部や観光地を歩いてきたが、この日はよりローカルな暮らしに触れることができた特別な1日だった。


村では、時間の流れがまるで止まっているかのように感じられた。朝日が昇ると、人々は自然と畑や家畜の世話を始める。時計を気にする様子はなく、太陽の高さと体のリズムで一日を刻んでいるようだった。都会でせわしなく暮らしてきた自分にとって、その光景は新鮮で、どこか懐かしさを感じさせた。


私は村人に誘われて一緒に畑仕事を体験した。道具はシンプルで、効率的とは言えない。しかし、その一つひとつの作業には「手をかける意味」が込められていた。作物を育てることは単なる食料生産ではなく、自然と共生する営みであると強く実感した。手に泥をつけ、汗を流しながら、私は生きることの根本を見つめ直すことになった。


昼には村の女性たちが調理した食事を共にした。煮込んだ豆料理やトウモロコシの粉を練った主食。素朴な味ながら、仲間と分け合って食べるそのひとときは何よりも贅沢に感じられた。子どもたちは笑顔で駆け回り、時折私のもとに寄ってきては興味津々に話しかけてくる。言葉は完全には通じないが、笑顔と仕草で心が通じ合うことを知った。


夕暮れ時、村人たちは火を囲み歌や踊りを始めた。そのリズムとエネルギーは心を揺さぶり、私は見よう見まねで一緒に踊った。夜空を見上げると、都会では見えないほどの満天の星が広がっていた。文明の光に邪魔されない闇の中で輝く星々は、宇宙の大きさと人間の小ささを教えてくれる。私はその瞬間、自分の旅の意味を深く考えさせられた。


アフリカの村で過ごしたこの一日は、ただの異文化体験にとどまらず、「生きること」と「時間の価値」についての学びをもたらしてくれた。私たちが普段慌ただしく追い求めているものは、本当に必要なものなのか。立ち止まって考える余白を与えてくれた。


28日目に出会ったこの村での経験は、私の旅の記録の中でも特別な意味を持っている。都会の喧騒に戻っても、心の中に残る「ゆったりと流れる時間」を思い出すことで、自分の生き方を見つめ直すきっかけになったのだ。


この日を境に、私は旅を「観光」から「学び」へと捉え直すようになった。アフリカの村で過ごしたかけがえのない一日は、今でも私の人生観を支えている大切な記憶である。


川滿憲忠

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