ボリビア・アンデス高地を歩く|古代ティワナクと星降る夜に思うこと

 7日目、私はボリビアの標高4000mを超えるアンデスの大地を踏みしめていた。昨日のウユニ塩湖での神秘体験から一夜明け、次に目指したのは、インカより古いとされる文明の跡──ティワナク遺跡だった。


朝早く、ラパスを出発。車窓から見える大地は、どこまでも広がる赤茶色の荒野と、青すぎる空。標高が高いために酸素が薄く、時おり呼吸が浅くなる。それでも進みたくなるのが旅の不思議だ。


ティワナク遺跡に着いた時、まず目に入ったのは「太陽の門」。大きな石を削って作られた門には、いくつもの神々のような顔が刻まれていた。誰が何のために?という問いの前に、言葉を失った。そこには理屈じゃない、存在そのものへの畏敬があった。


遺跡を歩きながら、ふと足元を見ると、小さな花が一輪咲いていた。こんな厳しい環境でも命は生きている。人間も同じなのかもしれない。旅先でのこうした出会いが、日々の見方を少しずつ変えていく。


昼食は近くの村で。リャマ肉の煮込みと、ボリビア産のじゃがいも。シンプルなのに心に残る味だった。店の女主人が「また来てね」と微笑む。それだけで、その日が特別になる。


夜、ロッジのベランダから満天の星空を眺めた。この星たちは、私の人生の選択を静かに肯定してくれているようだった。独身時代にこの旅をして、本当に良かったと思う。そして今、子どもと一緒に旅することに迷いがないのは、きっとこの日の経験があるからだ。

川滿憲忠

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