バックパッカー東南アジア編15日目 海辺の町で感じた旅のリズム

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バックパッカー東南アジア編15日目 海辺の町で感じた旅のリズム  


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15日目。長旅も折り返しを過ぎ、体も心もすっかりバックパッカーのリズムに馴染んできた。今朝は、ラオス南部から国境を越え、カンボジア側の小さな海辺の町にやって来た。乾いた大地が続いていたこれまでの景色から一変、目の前には広がる海と潮風の香りがあった。  


バス移動の道中は長く、埃っぽい車内で眠ったり、同じように旅を続けている欧米のバックパッカーと会話を交わしたりしていた。共通の言葉は英語。完璧ではなくても、お互い「旅を続ける仲間」という意識があるだけで会話は弾む。「どこから来た?」「次はどこへ行く?」そんな短い会話が、心を軽くしてくれる。  


海辺の町に到着すると、宿探しから始まる。大通り沿いにあるゲストハウスをいくつか回り、最終的に選んだのは、木造のバルコニーから海を一望できる小さな宿。1泊数ドル。シャワーは水しか出ないが、不思議とそれが心地よく感じられるのも旅の魔法だろう。  


チェックインを済ませた後、海辺の屋台に腰を下ろす。揚げた魚にライムを絞り、ビールを一口飲むと、体に溜まっていた疲れが一気に解けていく。旅は決して楽なものではない。長距離移動に、異国の文化に、時には緊張や不安がつきまとう。それでもこうして「心からうまい」と思える瞬間があるからこそ続けられる。  


夕暮れ時、浜辺には地元の子どもたちが集まり、サッカーボールを追いかけていた。裸足で笑いながら走り回る彼らを見ていると、時間がゆっくりと流れていくのを感じる。僕も自然と砂浜に腰を下ろし、その光景を眺めた。言葉を交わさなくても、人の暮らしの温度が伝わってくる瞬間。旅の本質は、観光名所や派手な景色ではなく、こうした「人と暮らしに触れる時間」なのかもしれない。  


夜、海辺のバーで小さな集まりが開かれていた。世界各国からやってきた旅人たちが集まり、それぞれの国の話をし、ギターを片手に歌を口ずさむ。僕も隣に座ったフランス人のバックパッカーと話をしながら、カンボジアのビールをもう一杯。こうした出会いは一度限りで、翌日には別々の道を歩むことになる。それでも「一期一会」という言葉の意味を、この旅では何度も思い知らされる。  


15日目を迎えて思うのは、旅の「速度」だ。最初の数日は、まだ頭も体も日本のリズムに縛られていた。何かを見逃してはいけない、無駄にしてはいけない、そんな焦りがあった。けれど2週間を過ぎた今、自然と「その土地の時間」に体が馴染んできた。無理に予定を詰めなくてもいい。偶然の出会いや寄り道こそが、この旅を形作るのだと分かってきた。  


夜風に吹かれながら宿へ戻る途中、空を見上げると、満天の星が広がっていた。海辺の静かな町だからこそ見える光景。自分がこの地球のほんの一部でしかないことを、星空はいつも思い出させてくれる。  


明日はさらに南へと向かい、アンコール遺跡群を目指す予定だ。歴史の重みを感じる旅になるだろう。しかし今はただ、この町の海風と潮の香りを胸に刻み、眠りにつこう。  


バックパッカーの旅は、日々の小さな出会いと風景の積み重ねでできている。その一つひとつが、僕の中で確実に「生きている証」として残っていくのを感じながら。  


――川滿憲忠  

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