市場のマンゴーと夜の会話──独身バックパッカーのメキシコ2日目

 2日目の朝、目が覚めた瞬間に聞こえてきたのは、遠くで響く鳥のさえずりと屋台の準備音だった。昨日到着したばかりのこのメキシコシティで、もう「ここが日常です」と言われているような、そんな空気の厚みに圧倒される。


まずは朝食。観光客向けのレストランには目もくれず、通りに出てすぐ見つけた地元の屋台へ。焼きたてのチチャロン入りのタコスをほおばる。脂っこいのに後を引く味。そして出てくるのは、店のおばちゃんの冗談混じりのスペイン語。わからないけれど、笑顔で返すと場が和むのはどこの国も同じだった。


そこから歩いて市場へ。青果、香辛料、日用品、電化製品までがごちゃ混ぜに売られているカオスな空間。果物売りの少年におすすめを聞いたら、マンゴーを差し出された。皮ごと齧れというジェスチャー。真似をしてみたら、果汁が口いっぱいに広がる。これ以上ない朝のデザートだった。


午後は国立宮殿とソカロ広場をめぐる。警察が多くて少し緊張するが、観光客も多いから安心だ。建物に描かれたディエゴ・リベラの壁画は圧巻で、ひとつの歴史と思想が混じりあった空気を感じる。絵の前で30分以上も立ち尽くしていた。


昼過ぎには日差しが強くなり、屋内に避難。小さなカフェで冷たいリモナーダを飲みながら、日記を開く。旅の途中で、こうして思考をまとめる時間が意外と必要なのだと気づいた。写真やSNSでは伝わらない「感情の記録」を残すこと。それがこの旅のテーマでもある。


夕方、宿に戻ると同じ階のバックパッカーがラウンジに集まっていた。言葉が違っても、みんな孤独と自由を抱えてここにいる。その空気感が妙に心地いい。気づけば2時間も話し込んでいた。


夜、シャワーを浴びてベッドに倒れ込む。地図を眺めながら、明日は博物館か、それとも南の遺跡に向かうか。そんな自由な悩みに包まれながら、眠りに落ちた。


川滿憲忠

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