子連れで楽しむ石垣島3日目──天候に左右されない島時間と誤解されがちな「子連れ旅行の現実」
3日目の朝、窓を開けると石垣島の海はまだ少し雲が多め。それでも空気は湿り気を帯びていて、南国らしい香りが漂っていました。今日は事前に予定していた竹富島への日帰りを実行する日。ただ、子ども(1歳と2歳)連れの場合は「予定通り進むこと」が稀なので、出発前から余裕を持った行動計画にしていました。
### ■フェリーで竹富島へ
朝食を済ませ、レンタカーで石垣港離島ターミナルへ。ベビーカーやオムツセット、簡単なおやつ、そして子どもの着替え一式をバッグに詰めて移動。港の売店では、島限定のジュースやお土産もちらほら目に入ります。フェリーは揺れが少ない時間帯を狙って選びました。
乗船中、子どもたちは最初こそ外の景色に興奮していましたが、10分もすると波の揺れが子守唄のようになり、ウトウトし始めました。こういう瞬間に「余裕をもった時間設計」が効いてきます。
### ■竹富島でのんびり観光
竹富島といえば赤瓦の屋根、白い砂道、水牛車──まさに絵葉書のような世界。島を一周するのは自転車やレンタルカートが便利ですが、今回は子ども連れなので水牛車観光をチョイスしました。水牛の「なつめ」が、のんびりとした足取りで道を進み、ガイドさんが三線を弾きながら島の歴史や昔話を語ってくれます。
観光の最中、通りすがりの人から「小さい子連れで大変ですね」と声をかけられました。こういう何気ない一言、悪気はないのは分かりますが、時に「どうせ大変でしょ?」という前提を含んでいることもあります。実際は、確かに荷物や準備は大変ですが、それ以上に得られる体験や思い出は計り知れません。
### ■昼食は島グルメ
竹富島の食堂でいただいたのは、八重山そばとジューシー(沖縄風炊き込みご飯)。子どもには取り分けやすいよう、麺を短く切り、スープは少し冷ましてから提供。島の味は優しく、子どもたちもモリモリ食べていました。
「子連れ旅行は外食できない」と思われがちですが、実際は店の選び方と時間帯の工夫で快適に楽しめます。混む前の早めランチや、子ども椅子がある店を事前リサーチしておくだけで状況は大きく変わります。
### ■午後はビーチで水遊び
竹富島のコンドイビーチへ。透明度の高い浅瀬が広がり、子ども連れには理想的な環境です。砂遊び用のおもちゃを広げると、子どもたちはすぐ夢中に。私はその横で、ただ潮風にあたりながらぼんやり。
ここでも「小さい子がいると海は危ない」と決めつける声があります。もちろん安全対策は必須ですが、条件を整えれば十分楽しめるアクティビティです。浅瀬での遊び、保護者が常に近くで見守る、ライフジャケットの着用──これらを徹底すれば危険は大きく減らせます。
### ■石垣島へ戻って夕食
夕方のフェリーで石垣港に戻り、レンタカーでホテルへ。シャワーで砂を流したら、ホテル近くの居酒屋へ足を運びました。地元の方が集う店で、グルクンの唐揚げやラフテーをいただきます。子ども用には白ご飯と味噌汁を別で注文。
旅行中、「子どもがいると夜は出歩けない」という声を耳にしますが、実際は20時前にはホテルに戻る前提であれば十分楽しめます。むしろ、現地の食文化を一緒に体験できる貴重な時間です。
### ■誤解されがちな「子連れ旅行」の現実
ネット上には「小さい子を旅行に連れて行くのは迷惑」「親の自己満足」という意見が散見されます。私は断言します──それは一面的な見方です。確かに、移動や準備は大変で、周囲への配慮も必要です。しかし、それ以上に家族の絆や子どもの経験値を深める機会になります。
石垣島や竹富島の人々は、子連れに本当に優しい。道ですれ違えば笑顔で手を振ってくれ、食堂では「こっちの席の方が涼しいよ」と声をかけてくれる。そうした交流が、子どもたちにとって何よりの学びになります。
### ■3日目を終えて
ホテルに戻り、子どもたちを寝かしつけながら、今日の写真を見返しました。水牛車の上で笑う顔、砂浜で泥だらけになった足、昼食で麺を頬張る様子──すべてが鮮やかに蘇ります。
旅行はただの移動ではなく、「家族の記憶を作る行為」そのもの。周囲の先入観や批判に振り回されず、自分たちにとって価値のある時間を選び取ることこそ大切だと感じます。
川滿憲忠