迷子から始まったハバナの出会い──旧市街をさまよった6日目
ハバナ6日目の朝、特に予定を立てずに旧市街を歩き始めた。カラフルな壁とクラシックカー、葉巻をくゆらせる人々。観光客の多い通りを外れた途端、そこには生活の匂いが溢れていた。
青い扉から漏れる音楽に惹かれ、足を踏み入れると地元の若者たちがセッションをしていた。手拍子を打ちながら笑顔を交わし、彼らが教えてくれた小さなコーヒー屋を訪ねる。看板もないその店で飲んだ一杯は、安くて香り高く、忘れられない味だった。
さらに歩き続けるうちに迷子になったが、買い物帰りの女性が案内してくれたおかげで無事宿に戻れた。観光地を巡るより、偶然の出会いが心を満たす。独身時代のこの経験は、今も旅のスタイルに影響を与えている。