「子どもに本当に必要な外食とは──“お子様ランチ神話”への違和感」

外食で子どもと一緒に食事をすると、ほとんどのお店で用意されているのが「お子様ランチ」だ。カラフルなプレートに、ハンバーグやウインナー、唐揚げ、そしてフライドポテト。見た目には華やかで、子どもが喜びそうなラインナップが並んでいる。  

だが、よく考えてみてほしい。本当にこれは「子どものための食事」なのだろうか。


子どもが必要としているのは、ただの“ジャンク風ごちそう”ではなく、日常に近い栄養のある食事だ。極端に言えば、豚汁と白米のほうがよほどバランスがいい。豚汁には根菜、きのこ、豆腐、豚肉など、多様な栄養素が詰まっている。味が濃すぎるなら水を足せばよいし、熱ければ冷ませばいい。大人と同じメニューを少し調整するだけで、子どもにも十分に対応できる。何も「お子様ランチ」という専用メニューに縛られる必要はないのだ。


ではなぜ、お子様ランチが「子どもの外食の定番」として定着してしまったのか。それは、飲食店側の都合と、大人が抱く「子どもらしさ」のイメージが結びついた結果だろう。  

店としては、仕込みの簡単な揚げ物や冷凍食品で構成されたプレートを提供する方が効率的だ。さらに「旗が立っている」「色とりどり」という見た目の演出が、親の“子どもを喜ばせたい”という心理をくすぐる。結果として、「お子様ランチ=子どもにとって嬉しいもの」という神話ができあがっているのだ。


しかし、子どもは必ずしもお子様ランチを望んでいるわけではない。1歳、2歳の小さな子どもであれば、むしろシンプルな食事のほうが安心できる。油や塩分が強い料理は体に負担になるし、ポテトや揚げ物ばかりを繰り返せば偏食にもつながる。親から見れば“食べやすいから”“子どもが好きそうだから”と安易に選んでしまうが、それは本当に子どものためなのか、立ち止まって考える必要がある。


私自身、外食時には「大人と同じ定食を取り分ける」ことを基本にしている。豚汁定食や焼き魚定食など、和食をベースにしたものを選べば、栄養の偏りも防げるし、子どもも自然に“家庭の味”を共有できる。価格面でも、お子様ランチが700円前後するのに対し、豚汁定食なら同等かむしろ安い場合もある。  

しかも、大人の味付けを少し薄めればそのまま子どもに対応できるので、余計な出費も減るし、食べ残しも最小限に抑えられる。これこそ現実的であり、子どもにとってもプラスになる外食の形だと思う。


世の中には「子どもには子ども用を与えるべき」という思い込みが根強い。だが、発育や健康を第一に考えれば、“家庭に近いご飯”を外食でも用意する方が自然だ。お子様ランチが悪いわけではない。ときには特別感を演出するために選んでもいいだろう。しかし、それが常に「子どもにとって最良」だと信じ込むのは危うい。


食べ物は子どもの体をつくり、味覚を育てる。外食は楽しい時間であると同時に、学びの場でもある。だからこそ、ただ見た目に惹かれて「子どもらしい食事」を選ぶのではなく、「健康にいい、家庭に近い食事」を意識してみてほしい。お子様ランチの華やかさの裏で、実は大切なものを見失っていないか──その問いを、私たち大人が持ち続ける必要がある。  


川滿憲忠

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