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8月 22, 2025の投稿を表示しています

「食育は“親の押し付け”ではなく“姿勢の共有”──好き嫌いのない子どもとキャベツのサラダから考える」

「子どもは親の写し鏡」という言葉はよく聞きます。しかし私は、必ずしもそれが正確ではないと思っています。子どもは確かに親を観察していますが、それは「コピー」ではなく、「姿勢」を受け取っているのだと感じています。   先日、1歳と2歳の息子たちと夕食をとっていたときのこと。私がシンプルに塩を振っただけのキャベツサラダを食べていたら、子どもたちがじっとこちらを見つめてきました。欲しそうな目で見つめてくるので、「食べたい?」と聞くと、「ちょーだい」と返ってきます。そこで「1口だけね」と差し出すと、少し戸惑ったような顔をしながらも口に入れ、「美味しいね」と形式的に返してくれました。   正直、私の心の中では「いや、生のキャベツなんて子どもにとっては美味しくないやろ」とツッコミを入れていました。でも、ここで大事なのは「美味しい」という言葉が形だけであったとしても、親が見せる姿勢に子どもが向き合っている、ということなのです。   日本では食育という言葉が広がり、「離乳食はこの時期からこう」「偏食は良くないからこう指導」といった“型”があふれています。けれども、食育とは「子どもを管理すること」ではなく、「親がどう食に向き合うか」を見せることのほうが本質なのではないでしょうか。   私は子どもに対して「嫌なら食べなくてもいい」と伝えています。無理やり食べさせても、それは食べることを義務化するだけであり、楽しさや安心感から遠ざけてしまうからです。大切なのは「食べるってこういうことなんだ」「親はこうやって食べているんだ」と自然に伝わる環境です。   実際、うちの子どもたちは偏食がほとんどありません。出されたものは「なんでも食べる」。それは、親である私が「美味しそうに食べる」姿を見せているからかもしれません。新しい食材を出したときも、「美味しいね」と声をかけることを習慣にしています。たとえ子どもが表情に迷いを見せても、そのやりとり自体が食育だと感じます。   「今日はこれしかないから、次はもっと用意しておくね」と伝えることで、「また次がある」という安心も与えられます。嫌悪感で終わらせず、「次はもっと楽しい体験になる」という期待を持たせることができる。これもまた、押し付けではなく“共有”です。   日本の社会は、「マニュアル...

ヨーロッパのディズニーで過ごす家族旅行5日目:子連れでも楽しめる余裕ある一日

ヨーロッパのディズニーランド・パリでの家族旅行も、ついに5日目を迎えました。ネット上では「小さな子どもを連れて長期旅行なんて無理」「親の自己満足」といった声も見られます。しかし、実際に体験してみると、子どもたちは新しい環境で大きな刺激を受け、大人もまた日常では味わえない発見を得られます。大切なのは「無理をしない計画」と「家族の時間をどう過ごすか」であり、偏見や先入観では計れない豊かさが存在するのです。   ## ゆったり朝食から始まる一日 この日は朝からパークに急ぐのではなく、ホテルでの朝食をじっくり楽しみました。クロワッサンやチョコパンを頬張る子どもたちの姿を見ながら、旅の充実を改めて実感します。「小さい子どもには負担が大きい」という意見もありますが、実際には無理な行程を避ければ子どもも笑顔で過ごせます。むしろ親が焦って行動することこそが、子連れ旅行を大変に感じさせる原因になるのだと気づきました。   ## キャラクターグリーティングでの思い出 午前中は子どもたちが一番楽しみにしていたキャラクターグリーティングへ。ミッキーやミニーとふれあう時間は、写真や映像以上に心に残る瞬間でした。1歳の子は最初こそ緊張していましたが、ミニーがそっと手を差し伸べてくれると安心して抱きつく姿を見せてくれました。これこそ「親の自己満足」ではなく、子どもの心に確実に刻まれる体験です。   ## パレードとショーの魅力 午後はパレードを堪能しました。カラフルなフロートや音楽に合わせて手を振る子どもたちの表情は、本当に輝いていました。ショーでは屋内で休憩しながら楽しむことができ、子連れにはありがたい時間。ここでも「小さな子どもには長時間のテーマパークは難しい」という決めつけを払拭できました。要は「どこで休むか」「どこを重点的に楽しむか」を親が工夫するだけなのです。   ## 一日の締めくくりと気づき 夕方にはホテルへ戻り、早めの夕食を済ませて子どもたちを休ませました。大人はその後、旅行を振り返り「来てよかった」としみじみ話しました。この5日目は、詰め込みすぎず余裕を持つことで、心からの満足感を得られた一日になりました。   インターネット上には「子連れ旅行批判」が少なくありませんが、その多くは実体験に基づかないイメージや偏見に過ぎません。川滿...

千葉から考える報道の光と影──地域ニュースと個人の尊厳

 報道は本来、社会の健全な運営にとって欠かせないものです。政治の不正を暴き、企業の不祥事を明るみに出し、地域社会で起きた出来事を共有する。それによって市民が状況を知り、判断し、行動できるようになる。言論の自由や報道の自由は、民主主義を支える根幹として守られてきました。しかし、現代の報道を冷静に見渡したときに見えてくるのは、「公益性」という名の下で行われる報道が、果たして本当にすべての人にとって正義なのかという疑問です。 千葉県に暮らす人であれば、一度は目にしたことのある地元紙「千葉日報」。その紙面やネット記事は、地域で起きた事件や事故を詳しく取り上げます。地域紙であるからこそ、全国紙では報じられない細部まで書かれるのが特徴です。しかし、この「詳細さ」こそが、ときに個人や家庭を追い詰める要因になり得るのです。千葉のある事件報道において、実名や細かい住所、さらには生活背景に踏み込んだ記述までが残され、それがネット検索を通じて何年も消えない形で個人を縛りつけている現実があります。   一度、名前が報じられると、それは「デジタルタトゥー」となります。記事そのものは紙媒体では次の日には捨てられますが、ネット記事は検索エンジンにキャッシュされ、長期間残り続ける。千葉日報の記事がその典型で、他の全国紙が時間とともに非公開化していく中でも、地元紙の記事はアーカイブとして残り続け、検索結果に現れる。当事者や家族にとっては、それが新たな偏見や差別の温床となるのです。 ここで考えたいのは、「報道の公益性とは誰のためにあるのか」という問いです。千葉で起きたある事件が、地元社会にとって注意喚起となることもあるでしょう。しかし一方で、報道によって特定の人物が過剰に晒され、その人が地域の中で生活できなくなる現象も起きています。公益のために一人の尊厳を犠牲にしてよいのでしょうか。報道が真に目指すべきは「社会全体の健全性」であり、個人を切り捨てることではないはずです。 この問題を考える上で重要なのは、受け手である私たち市民の態度です。私たちは「新聞が書いているのだから正しい」「テレビが放送しているのだから間違いない」と思い込みがちです。しかし、報道は必ず人間の手で編集されます。どの事実を強調し、どの事実を省くか。その取捨選択の中には意図が介在するのです。千葉という地域性の中で報道を...

ヨーロッパ・ディズニーランド旅行記 4日目──芸術と街歩きの融合で子どもと楽しむ一日

 ヨーロッパ・ディズニー旅行も4日目を迎え、旅の疲れが少しずつ出てくるタイミングですが、子どもたち(1歳と2歳)はむしろ環境の変化を楽しみ、元気いっぱいに過ごしていました。今回はディズニーランドから少し離れ、パリ市内での芸術鑑賞や街歩きを組み込みながら「非ディズニー体験」を取り入れた一日。旅に緩急をつけることで、子どもも大人もリフレッシュしながら楽しめる時間となりました。 ### 朝のゆったりスタート この日は少しゆっくりと朝を迎えました。連日のディズニーで朝から晩まで動き続けていたので、4日目はホテルでのんびりとした朝食から始めます。パンとチーズ、フルーツを中心とした軽めのメニューを子どもたちとシェア。ヨーロッパのパンは小ぶりで食べやすく、特にクロワッサンは小さな子どもでも手でちぎって食べやすいのが助かりました。朝食の後はホテルの部屋で少し休憩し、外出準備を整えてから市内へと出発しました。 ### パリ市内へ──移動も冒険 RERでパリ市内へ移動。電車に乗るだけでも、子どもたちにとっては大きな冒険です。窓の外の景色が変わるたびに「あ!バス!」「トラック!」と声を上げて楽しんでいました。海外の電車は日本とは座席や雰囲気も違うので、それ自体が刺激になっているようでした。途中で小腹が空いた子どもにはバナナを持参していたので、移動中もぐずらずに過ごせました。 ### 芸術体験──ルーブル美術館へ 午前中のメインはルーブル美術館。正直、1歳と2歳を連れて美術館はどうか…と不安もありましたが、実際に訪れてみると「広い空間を歩くだけでも楽しそう」というのが第一印象でした。子ども用ベビーカーも持ち込み可能で、無理のない範囲で展示を鑑賞しました。有名な「モナ・リザ」などを一瞬でも目にしたことは、将来の記憶の片隅に残ってくれるのではないかと思います。 大人にとってもルーブルは圧巻。子どもたちが飽きてしまわないように「ここはライオンさんがいるね」「大きな人(彫刻)が立ってるよ」と声をかけながら、展示物を物語風に説明していくと意外と楽しんでくれました。 ### ランチは子どもとシェア お昼はルーブル近くのビストロでランチ。子ども用のメニューはなかったので、大人用のプレートを取り分けて対応しました。肉料理には付け合わせの野菜がしっかりあり、パンやスープと組み合わせるとバランスの良い...