独身時代に挑んだアフリカ30日間──バックパッカーとしての総まとめ
独身時代にバックパッカーとして挑んだアフリカ30日間の旅。それは単なる「旅行」ではなく、私の人生観を根底から揺さぶる大きな挑戦だった。日にちごとの出来事を追うのではなく、全体を通して感じたことをここに残しておきたい。 アフリカに降り立った瞬間のことを、今でも鮮明に覚えている。乾いた空気、果てしなく広がる大地、街を埋め尽くす人々のエネルギー。想像していた「アフリカ」とはまるで違う、生々しい現実がそこに広がっていた。便利さや効率とはかけ離れた世界だが、その不自由さがむしろ心を解き放ち、人間の生の力強さを感じさせてくれた。 移動は過酷だった。舗装されていない道を何時間もバスで揺られ、埃にまみれ、夜は蚊帳の中でマラリアを恐れながら眠った。ときには車が故障し、真っ暗な荒野に取り残されることもあった。それでも「嫌だ」とは思わなかった。むしろ、そこにしかない経験を味わえることが旅の醍醐味だと感じていた。 この旅を豊かにしてくれたのは人との出会いだ。世界中から集まったバックパッカーたちと語り合い、ときには道を共にした。現地の人々は、物質的には決して豊かでないかもしれないが、惜しみなく与え、助け合い、笑顔で生きていた。市場で果物を差し出してくれた女性や、迷った私を案内してくれた青年、そして無邪気に写真をせがむ子どもたち。そのひとつひとつの出会いが、私の心を強く揺さぶった。 もちろん、恐怖や不安もあった。治安の悪い地域に足を踏み入れて警告を受けたとき、心臓が早鐘のように打ったこと。体調を崩して寝込んだ日もあった。それでもなお、旅を続けたのは「未知を知りたい」という強烈な衝動だった。 アフリカの大自然に向き合う時間は、自分を見つめ直す時間でもあった。地平線の彼方まで広がる大地を前にすると、人間の存在はあまりに小さい。だが同時に「どう生きるのか」を真剣に問われる。その問いと向き合い続けた30日間は、私の人生を根本から変えてしまった。 帰国したとき、私はもう以前の自分ではなかった。不便さやリスクを恐れるのではなく、挑戦することにこそ意味があると知った。独身時代にこの旅を選んだことを、今も心から誇りに思っている。そしてその経験は過去の思い出ではなく、今も現在を支え、未来を照らす原点であり続けている。 川滿憲忠