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アフリカ編27日目──子連れ旅との違いを噛みしめる独身時代の挑戦

 タイトル: アフリカ編27日目──子連れ旅との違いを噛みしめる独身時代の挑戦   本文:   アフリカ放浪27日目。長旅の疲れも蓄積しつつ、独身時代ならではの冒険をしていた自分を改めて振り返る。今、1歳と2歳の子どもを連れて旅をしていると、「かつての無謀さ」と「いまの責任ある選択」がいかに異なるものかを強く感じる。   この日は、内陸の小さな町から次の国境を目指して移動する日だった。バスは満員で、天井には荷物が積まれ、足元には鶏が歩き回る。そんな環境も「これが旅だ」と思えたのは、独身時代だからこそだろう。水がなくても我慢でき、食事が簡素でも問題なかった。しかし、子ども連れであれば、そんな環境では到底成り立たない。喉が渇けば泣き、空腹になれば不機嫌になる。だからこそ、今の旅は綿密な準備が不可欠だ。   国境に到着すると、検問の列が延々と続いていた。ビザの確認や入国審査で数時間待たされるのは当たり前。周囲の人々と簡単な会話をしながら時間をやり過ごしたが、あの忍耐強さも独り身だからできたことだろう。子どもが一緒なら、あの長時間を乗り越えるには食べ物や遊び道具が欠かせない。   旅を重ねるうちに、体力勝負から精神勝負へと変わっていった。砂漠を越える道中で砂嵐に見舞われたこともある。視界が奪われ、足跡さえ消えていくなかで必死に進んだあの時間は、今思い返しても震える。しかし、それも「自分ひとりの命を守るだけでよかった」からできたことである。もし子どもを連れていたら、絶対に挑戦できなかっただろう。   夜は現地の青年たちと焚き火を囲み、音楽と会話で過ごした。文化の違いを肌で感じ、言葉が通じなくても心は通じる。あの夜空の下での一体感は、子連れ旅行では得られない体験だったかもしれない。今は子どもの寝かしつけや安全の確保が最優先。焚き火を囲むよりも、ベッドで安眠させることが大切になる。   この27日目の経験を振り返ると、「自由と責任」という言葉が心に浮かぶ。独身時代は自由を追い求めてリスクを受け入れた。だが今は、子どもの笑顔を守るために責任を重んじる旅を選んでいる。その両方があったからこそ、今の自分がいるのだと思う。   アフリカでの27日目は、過酷な環境の中で自由を謳歌した日。今は家族を抱えて...

26日目 アフリカ編:独身時代の旅で感じた孤独と出会い 川滿憲忠

 アフリカをバックパッカーとして旅していた独身時代の26日目。この日は、これまでの旅の中でも特に印象深い一日となった。アフリカという大地は、その広さや自然の雄大さだけでなく、街ごとに漂う人々の空気や独特のリズムが、旅人に常に新しい刺激を与えてくれる。振り返ると、26日目はまさに「孤独と出会い」が交錯した日だった。 朝は、前日に宿泊したロッジの簡素な朝食から始まった。乾いたパンと甘い紅茶。それだけのシンプルな食事だったが、体に染みわたるように美味しく感じたのは、きっとここまで歩んできた旅の疲れと空腹、そして何よりも「生きている実感」によるものだった。バックパッカーの旅は快適さとは無縁である一方、その不便さがかえって心を豊かにしてくれる。贅沢ではない朝食を前にしても、どこか幸せを感じられた。 この日は町のバスターミナルへ向かい、次の目的地へ移動する予定だった。バス停ではすでに多くの人々が集まっていた。観光客はほとんどおらず、ほぼ地元の人ばかり。子どもを背負った母親、荷物を抱える男性、そして露天で軽食を売る人々。バスが来るのを待ちながら、彼らの姿を眺めていると、自分が完全に「異国」にいることを改めて感じさせられた。日本では決して見ることのない日常の光景が、ここには自然に流れている。 しばらくして古びたバスがやってきた。窓ガラスは割れている箇所もあり、シートは破れて中のスポンジが見えていた。だが、そんな状態でも人々は当たり前のように乗り込み、笑顔で隣同士に座る。私はその光景に驚きつつも、「壊れているから使えない」という発想がいかに自分の中で当たり前になっていたかを痛感した。アフリカの人々は「あるものを使う」「壊れても工夫して使い続ける」という姿勢を自然に持っていて、その強さに圧倒された。 道中、バスは予想通りの大混雑。定員を大幅に超え、座席だけでなく通路までぎゅうぎゅう詰めだった。汗と埃、そして食べ物の匂いが混じり合う空間は決して快適ではないが、誰も不満を口にしない。それどころか、隣の見知らぬ人が「大丈夫?」と笑顔で声をかけてくれたり、小さな子どもが無邪気にこちらを見つめてきたりする。その温かさに触れた瞬間、ふと「孤独ではない」と思えるのだから不思議だ。旅の中で感じる孤独感と、他者との一瞬のつながり。両者は常に隣り合わせにあった。 目的地に到着したのは昼過ぎだった。...