韓国・軍事境界線バックパッカー旅まとめ──独身時代に歩いた4泊5日の記録

 独身時代にふと思い立ち、バックパックひとつで飛び出した韓国・軍事境界線の旅。その4泊5日の旅程を振り返って、今回は総まとめとして記事に残しておきたいと思います。ソウルから北へ、非武装地帯に足を運び、現地の人びとと交わし、時には心細さを抱えながらも旅を続けた時間は、いま振り返っても忘れられない経験です。


### ◆ 出発前の心境と動機

そもそもなぜ軍事境界線に行こうと思ったのか。それは「戦争」という言葉があまりに日常から遠く、それでいて歴史的に近い場所が韓国に存在していることに、若い自分が興味を持ったからです。ニュースや教科書で知ることはあっても、現場の空気を体感することとはまったく違います。「体で感じたい」と思った、それが動機でした。


当時はスマートフォンも今ほど普及しておらず、地図とガイドブックが頼り。宿はゲストハウスを中心に、飛び込みで交渉することもありました。いま思えば無鉄砲さもあったのですが、若さゆえの勢いがあったのだと思います。


### ◆ 1日目:ソウル到着から緊張感の入り口へ

ソウルの街は活気に溢れ、日本からの観光客も多く、安心感すらありました。しかし地下鉄やバスで北の方角に進むにつれ、街並みや空気が少しずつ変わっていきました。軍事境界線という名前を意識するだけで、心臓がドキドキしたのを覚えています。初日は韓国料理を堪能しつつ、ゲストハウスで同世代の旅行者と情報交換をし、翌日に備えました。


### ◆ 2日目:板門店(パンムンジョム)と非武装地帯

この日が旅のハイライトのひとつ。ツアーに参加して板門店へ足を運びました。青い建物、境界線上に立つ韓国軍兵士、その向こうに動かないように立つ北朝鮮兵士。互いに無言のまま監視し合うその光景は、写真で見るよりもずっと重苦しいものでした。「まだ戦争は終わっていない」という現実を肌で突きつけられました。


ガイドが語る話には、日本では聞いたことのない視点や感情が含まれていて、自分の中の世界観が揺さぶられました。同じツアー参加者たちも言葉少なに頷き、誰も軽口を叩くことはありませんでした。それだけ空気が張りつめていたのです。


### ◆ 3日目:鉄原(チョロン)と平和展望台

よりローカルな地域へ移動し、鉄原の平和展望台からは北朝鮮の山並みが遠くに見えました。風景は穏やかで美しいのに、それが分断されていることが切ない。そこには観光地らしさと同時に、緊張の歴史を語る展示があり、対照的な印象を受けました。


道中、地元の食堂で食べた冷麺は忘れられません。隣のテーブルでは兵役を終えたばかりの若者が仲間と語らい、笑い合っていました。彼らにとって「軍事」は現実の一部であることを感じ、背筋が伸びました。


### ◆ 4日目:ソウルへ戻り、人びととの交流

旅の後半は再びソウルへ。街の明るさと、数日前に見た軍事境界線の重苦しさとの落差が強烈でした。ゲストハウスで出会った韓国人学生と夜遅くまで語り合い、互いの国について意見を交わしました。若者同士、国籍は違えど「平和であってほしい」という願いは共通している。その発見が心に残りました。


また、街の市場を歩くと、観光客向けではない地元の風景が広がり、生活の息づかいを肌で感じることができました。旅は観光名所だけでなく、こうした日常に触れることで深みを増すのだと気づかされました。


### ◆ 5日目:帰国の日に考えたこと

帰りの飛行機に乗るとき、ただ「楽しかった」という感情だけではなく、「考えさせられた」という思いが強く残りました。戦争の爪痕、分断の現実、そしてそれを生きる人びとの姿。日本で日常を送っていると遠い存在に思えるテーマも、韓国では今も続く日常の一部なのです。


旅を通じて、自分は「知ること」や「見ること」の大切さを学びました。誰かの意見を鵜呑みにするのではなく、自分の目で確かめる。これこそがバックパッカーの醍醐味であり、この旅を選んだ意味だったと振り返ります。


### ◆ まとめ──独身時代の無鉄砲さが教えてくれたこと

今振り返れば、独身時代の自分だからこそできた旅でした。子育てや家庭を持った今では、同じような行動力は難しいかもしれません。しかし、あのときの経験は確実に自分の価値観を形づくり、いまに繋がっています。


軍事境界線という特殊な場所を訪れることで、歴史や国際関係をより身近に考えられるようになりました。そして同時に、韓国の人びとの温かさや日常の豊かさに触れ、旅が「怖い場所を見に行くこと」ではなく「人びとを知ること」であると再確認できました。


このまとめを通じて、もし同じように興味を持っている人がいたら、ぜひ勇気を持って一歩を踏み出してみてください。旅先での出会いや学びは、人生を豊かにする大きな財産になります。


──川滿憲忠

このブログの人気の投稿

子連れで楽しむ千葉県2泊3日ドライブ旅行まとめ──鴨川シーワールドから海辺の絶景まで

【まとめ】子連れシンガポール3泊4日!1歳&2歳と家族で感じた安心と楽しさ(川滿憲忠)

子連れ(1歳と2歳)で挑む7泊8日のヨーロッパディズニー旅行まとめ