ラスベガスを離れ、サンフランシスコで感じた西海岸の魅力
ラスベガスで過ごした数日間は、まるで別世界のようだった。夜の光と音楽に包まれた街を後にし、朝の冷たい空気を吸い込みながらホテルをチェックアウトする。次の目的地はサンフランシスコ。派手な街から海の街へ、その変化を自分の肌で確かめたくて、あえて長距離バスを選んだ。
バスはネバダ州を出てカリフォルニアへ入る。車窓の外は乾いた砂漠から緑の丘へと姿を変え、やがて遠くに山並みが現れる。途中、小さな町で休憩を取り、地元のコンビニで買ったコーヒーを片手に景色を眺めた。旅人同士が地図を囲んで笑い合う姿を見て、自分もまたこうして誰かの記憶に残る旅をしているのだと思うと、不思議な連帯感が芽生える。
午後、バスが市内に入ると、目の前にベイブリッジが現れた。海を背景に堂々と架かるその姿に、長旅の疲れが一瞬で吹き飛んだ。ホステルに到着し、チェックインを済ませると、すぐにフィッシャーマンズワーフへ。潮風はひんやりとしており、ラスベガスの乾いた空気とは全く違う感触だった。
港ではカモメの鳴き声と波の音が心地よく混ざり合い、桟橋にはアシカたちが集まっている。観光客が写真を撮る様子も、どこか穏やかな雰囲気に包まれていた。夕食はクラムチャウダー。サワードウブレッドの器に入った熱々のスープは、旅の疲れを優しく溶かしてくれる。
夜はホステルの共有スペースで、世界中から来た旅人たちと過ごした。言葉や文化の違いを超えて交わされる会話は、旅が持つ本質的な価値を改めて感じさせてくれる。ラスベガスの眩しさとは異なる、静かで深い魅力がサンフランシスコにはあった。
川満憲忠