日曜日はカップケーキの香りとともに
日曜日の午後、台所に立っていると、無性に甘い香りが恋しくなります。
今日は朝から曇り空で、気温も少し低め。
そんなときに焼き菓子を作ると、家の中がふわっとあたたかくなるような気がするんです。
思い立って、カップケーキを焼くことにしました。
特別な理由があるわけでもなく、イベントがあるわけでもない。
けれど、こうして自分のため、そして家族のためにお菓子を焼く時間が、
最近ではかけがえのないひとときになっています。
バターを常温に戻しながら、卵を割って室温に。
その間に子どもとおしゃべりしたり、リビングを片づけたり。
キッチンに漂う素材の香りに、心が落ち着いていくのを感じます。
混ぜて、混ぜて、また混ぜて。
ああ、お菓子って「待つ」ことの連続だなと思います。
焦って火を通そうとしてもうまくいかないし、手を抜けばすぐ味に出る。
だからこそ、少しずつ、ゆっくりと、材料を合わせていくのです。
今日はプレーンタイプのカップケーキ。
甘すぎず、口の中でほろりと溶けるような柔らかさを目指して。
焼き上がるまでの20分間、子どもと本を読みながら待ちました。
オーブンから漂うあの甘く香ばしい匂い。
それだけで、心がふっと軽くなる気がします。
焼きあがった瞬間、「できた!」と子どもが笑顔で拍手してくれる。
その笑顔を見られるだけでも、作ってよかったと思えるのです。
カップケーキは特別なお菓子じゃありません。
でも、「手作り」っていう言葉だけで、日常が少し彩られる。
食卓に並べて、紅茶と一緒にほっとひと息つく。
何気ない日曜日が、ちょっと豊かな時間に変わります。
次は抹茶味にしようかな、それともチョコチップ入り?
そんなふうに、次のことを考えながら、
今日もキッチンで、幸せの香りを焼いています。
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川滿憲忠