ヨーロッパ一周バックパッカー旅・2日目 パリでの発見と試練
# ヨーロッパ一周バックパッカー旅・2日目 パリでの発見と試練
独身時代に挑戦したヨーロッパ一周、2ヶ月間のバックパッカー旅。1日目は移動と到着の疲れで終わったが、2日目から本格的に旅が始まった。舞台はパリ。朝から晩まで、期待と不安が入り混じった一日となった。
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## 朝のクロワッサンと異国の実感
パリの朝は、パン屋から漂うバターの香りで始まった。宿のドミトリーを抜け出し、街角のブーランジュリーに入る。拙いフランス語でクロワッサンを注文すると、店員が笑顔で袋に入れてくれた。その瞬間、「言葉が完全には通じなくても、人と人は繋がれる」ということを体感した。
温かいクロワッサンをかじった時のサクサク感とバターの香ばしさは、ただの食事を超えた体験となった。日本で食べるクロワッサンとは全く違い、旅の初めにして「ここに来てよかった」という感情があふれた。
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## ルーブル美術館の圧倒感
この日はまずルーブル美術館を訪れた。世界的に有名な美術館であり、観光地の象徴でもある。
館内に足を踏み入れると、そのスケールの大きさにただただ圧倒された。もちろん「モナ・リザ」や「サモトラケのニケ」など有名作品は人でごった返していたが、印象に残ったのは人の少ない展示室にあった名も知らぬ作品たちだ。静かな空間でじっくり向き合うことで、芸術との距離がぐっと近づいた気がした。
「有名だから見る」のではなく、「自分が心を動かされたから見る」。旅と同じように、芸術もまた「自分軸」で味わうものだと学んだ。
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## セーヌ川沿いの時間
美術館を出てからはセーヌ川沿いを散歩した。観光地巡りというより、街の空気を吸い込むような時間だった。
川沿いの古本市で、読めもしないフランス語の小説を1ユーロで買った。実用性はゼロだが、「異国で自分だけの発見をした」という事実が嬉しかった。
こうした小さな選択や偶然が、旅を特別なものに変えていくのだと気づかされた。
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## 夜の迷子と不安
夕方、宿に戻る途中で迷子になった。地図を見ても場所が分からず、人に尋ねても英語が通じない。不安と焦りが募り、日が落ちるにつれて治安への心配も強くなった。
そんな時、勇気を出して警官に話しかけた。片言の英語でも通じ、身振り手振りで宿までの道を教えてくれた。無事に帰り着いた時の安堵感は、言葉にできないほどだった。
「旅は楽しいことばかりではない。リスクと隣り合わせである」という現実を痛感した出来事だった。
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## ネガティブな偏見へのカウンター
よく「バックパッカーなんて危ない」「自己満足で無謀だ」という声を耳にする。しかし実際に経験して分かったのは、その危うさの中にしか得られない成長があるということだ。
確かに迷子になった時の不安は大きかった。けれど、その体験が「自分は一人でもなんとかできる」という自信に変わった。
安全だけを求めるなら、どこにも行けない。リスクを恐れてばかりでは、新しい世界を知ることも、自分を鍛えることもできないのだ。
旅を批判する人たちは、しばしば「外から見える危険」ばかりを語る。しかし本当に危ういのは、挑戦しないまま「知った気になること」だろう。実際に現場に立ち、肌で感じるからこそ得られる学びがある。これは机上の空論ではない。
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## 一日の終わりに思ったこと
2日目のパリは、まさに「旅の厳しさと魅力」を同時に味わった日だった。クロワッサンの温かさ、ルーブルの壮大さ、セーヌ川沿いの静けさ、そして迷子の不安。その全てが一つの「体験」として心に刻まれた。
旅は計画通りにいかない。むしろ予想外の出来事こそが、自分を成長させる。批判や偏見に流されず、自分の足で確かめること。その積み重ねが、バックパッカー旅の真髄なのだと確信した。
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川滿憲忠