気づけばできていたこと
人は日々、成長している。意識しているかどうかにかかわらず、昨日できなかったことが今日は自然とできるようになっていた、という瞬間がある。
例えば、料理。最初はレシピ本を何度も読み返しながら、恐る恐る包丁を握っていたのに、気づけばレシピを見ずに調味料の分量が感覚で分かるようになっていた。味見をして「あ、これでちょうどいい」と判断できたとき、ちょっとした誇らしさを感じる。
また、身の回りの整理整頓。以前は部屋がすぐ散らかっていたけれど、今では自然と片付けを後回しにしなくなった。「使ったら戻す」「いらないものはすぐ処分する」――そんな当たり前のことが、無理なく習慣になっていると気づいた瞬間、自分の中で何かが変わったと実感する。
日常の中の小さな成長は、意識していないと見過ごしてしまうことが多い。けれど、ふと振り返って「前はもっと時間がかかってたな」と思えたとき、そこには確かに自分の変化がある。
SNSを見ていると、周囲の人たちのすごい成果や華やかな日々ばかりが目に入ってきて、自分が何も成し遂げていないような気持ちになることがある。でも、他人の「成果」と自分の「途中」を比べても意味はない。重要なのは、自分が自分なりに昨日より前進しているかどうか。
「前は疲れて何もできなかったけど、今日は洗濯機を回せた」
「落ち込み気味だったけど、外に出て日差しを浴びてきた」
そんなささやかな行動だって、立派な前進だと思う。小さな積み重ねが、確実に自分を変えていく。
大きな目標に向かって頑張ることも大切だけど、気づいたら少し楽に呼吸できるようになっていたとか、些細なことで笑えるようになったとか、そういう小さな「変化」に気づける心の余裕もまた、大切なことだと思う。
今日の自分を、ちょっとだけ褒めてあげよう。
川滿憲忠
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