駅前で見かけた親子の会話に心があたたまった日
駅前のロータリーを歩いていると、小さな男の子の声が聞こえました。
「ママ!見て!鳩がいっぱいいるよ!」
その子は、背中にリュックを背負っていて、まだ幼稚園か小学校低学年くらいでしょうか。
目の前の鳩を指差しながら、お母さんらしき女性に話しかけていました。
「本当だね。鳩さんもお散歩かな?」
そう言って微笑む母親の声に、私は思わず足を止めてしまいました。
マスクをしていても、目の表情でちゃんと笑っているのが伝わってきました。
特別な会話ではありません。
ただ鳩を見つけて、それを一緒に見て笑っているだけ。
でも、その空気がどこかあたたかくて、心に残ったのです。
駅前では、親子のさまざまな姿を見かけます。
怒鳴っている人、無言でスマホを見つめる人、子どもだけがはしゃいでいる人。
でも今日のあの親子は、まるでやさしい風のような存在でした。
私たちの日常は、小さな出来事の積み重ね。
ニュースにもならないし、記録にも残らないけれど、
そうした一瞬一瞬が、心をそっと支えてくれるのです。
帰り道、子どもの頃の記憶がよみがえりました。
母と手をつないで歩いた商店街。
おしゃべりしたこと、笑いあったこと。
全部をはっきり覚えていないけれど、「あたたかい記憶」として残っています。
きっと、あの男の子にとっても、
今日の「鳩さんとの会話」は、大切なやさしい記憶になるのでしょう。
そんな風景に出会えたことが、今日の私にとって一番の出来事でした。
川滿憲忠
note
アメブロ