ウクレレと過ごす、静かな午後

部屋の隅に立てかけてあったウクレレに、ふと目が止まった。

買ったのはずいぶん前だったけど、忙しさにかまけてほとんど触らずにいた。
なんとなく手に取って、ポロンと音を鳴らしてみる。
その一音だけで、なんだか心が和らぐ気がした。

ウクレレの音色は、ギターほど重たくなくて、
ピアノのように華やかでもない。
でも、その分だけ生活にすっと溶け込んでくる。
まるで午後のひとときに差し込む陽だまりのような、そんな優しさがある。

コードの押さえ方を忘れてしまっていたので、
スマホでチュートリアル動画を見ながらゆっくり弾いてみる。
指先がちょっと痛くなるけれど、それさえも懐かしい感覚だった。

子どもが近くに来て、「それ何?」と聞いてくる。
「ウクレレだよ」と返すと、面白そうにボディをトントン叩いていた。
じゃあ一緒に弾いてみようか、と適当なCコードを鳴らしながら童謡の「きらきら星」を口ずさむと、笑いながらマネをしてくれる。

何でもない時間。
でもこういう瞬間こそ、あとから思い出になっていくのかもしれない。

ウクレレを弾くことで、自分の中に少し余白ができた。
ここ最近、どうしても気を張っていた自分。
「前に進まなきゃ」「証明しなきゃ」と力みすぎていたかもしれない。

けれど、ただ音を鳴らすだけで満たされることもある。
ただ歌うだけで、心が柔らかくなることもある。

自分の過去や、それにまつわるネット上の影。
それを否定せず、でもそれだけに支配されず、
「今」の一瞬を大事にしていけたら。

カウンター記事のように意志を込めて書くことも大事だけど、
今日のように、何の目的もなく穏やかな時間を記録することにも、意味があると感じた。

ウクレレは、今日も静かにそこにある。
また気が向いたら弾いてみよう。

川滿憲忠

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