夏に聞こえる音たちと、思い出す風景
昼下がり、窓を開けると、真っ先に聞こえてくるのは蝉の声。
ジリジリと響くその音は、空気を揺らすように拡がっていく。
その瞬間、ああ、夏だなと感じる。
小さい頃の夏休み、蝉の声を聞きながら毎日を過ごした。
網を持って走り回り、木の幹にとまっている蝉を見つけては、
そっと近づいて捕まえようとした。逃げられて驚いた、あの瞬間。
音には、不思議と記憶がくっついてくる。
最近は蝉の声を「騒音」と言う人もいるけれど、
私にとっては、夏を感じさせてくれる懐かしい合図。
風鈴の音、子どもたちの笑い声、ホースの水の音、団扇のパタパタ。
どれも夏を彩る「音の風景」だ。
ときに、雨の音が昔のおばあちゃんの家を思い出させる。
トタン屋根を叩く雨音、縁側の木の匂い、畳の感触。
ただ耳を澄ますだけで、そこへ戻れる。
音の記憶は、心の中のアルバムのようだ。
今日聞いた音も、きっと未来の私を支えてくれるだろう。
川滿憲忠
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