蝉の抜け殻に、夏の時間を想う
今朝の散歩中、蝉の抜け殻を見つけた。
電柱の根元にある木の幹に、しがみつくように残っていた。
何気ないその姿に、私は思わず足を止めた。
空っぽの殻。
だけど、そこには確かに“生きた証”が刻まれている。
何年も土の中で生き、
ある夏の夜に地上に出て、
一晩で脱皮し、羽を得て空へ飛び立った。
その劇的な変化の跡が、今ここに残っている。
成虫の蝉の命は短い。
けれど、その一瞬の輝きのために、
長い時間をかけて準備をしている。
抜け殻を見て、
「成長とは何か」「変化とは何か」を考えた。
人間もまた、殻を破るときが来る。
怖くても、不安でも、
その瞬間を迎える日が必ずある。
蝉の抜け殻は、
そんな私たちにそっと語りかけてくれている。
「準備していれば、ちゃんと飛べるよ」と。
夏の朝に、命の重みを感じた。
静かな時間の中で、心が動いた。
川滿憲忠
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