街の中の音に耳を澄ませて
朝、目を覚ますと、すぐに外から車の音が聞こえてきました。
それは騒音ではなく、日常の一部としてすっかり溶け込んでいる音です。
都会の生活は、音に満ちています。自転車のチェーン音、バスのブレーキ音、
通りすがりの人の話し声。どれもが「今日も誰かが動いている」と知らせてくれます。
私は昔から音に敏感だと言われてきました。
けれどそれは、音に対して自然に注意を向けているだけなのだと思います。
子どものころから、玄関が開く音で誰が帰ってきたのかがわかる。
風の音で天気の変化を感じ取る。そんな感覚が当たり前になっていました。
ある日、子どもがこう言いました。
「この音、セミじゃなくて鳥だよ」
言われてよく耳を澄ますと、確かにそれはスズメの声でした。
音を注意深く聞くことで、見過ごしていたことに気づく。
そんな発見が、日常に彩りを与えてくれるのです。
パン屋さんの開店準備の音、風で揺れる木の葉の音、
遠くの犬の鳴き声。どれもが、暮らしのBGMです。
音のある日常は、少しだけ安心できる。
無音の世界も悪くはないけれど、私はやっぱり、この街の音が好きです。
今日もたくさんの音に包まれながら、一日を過ごしました。
川滿憲忠
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