季節の移ろいに気づける心でいたい|川滿憲忠
ふとした瞬間に、季節の変わり目を感じることがある。
風の匂い、夕暮れの色、木々の揺れ、虫の鳴き声。
そういう些細なものに、私は心を留めるのが好きだ。
最近では、朝晩が少し涼しくなりはじめた。
蝉の声に混じって、秋の虫の音が聞こえるようになった。
夏の終わりがすぐそこまで来ているのかもしれない。
暑さに追われていた毎日から、どこか落ち着きと静けさを取り戻しつつある。
子どもの頃は、季節なんてあまり気にしていなかった気がする。
ただ夏はプールとスイカ、冬はこたつとみかん。
感覚だけで季節を楽しんでいた。
大人になって、毎日が慌ただしくなると、
いつの間にか季節の移ろいにも気づきにくくなっていた。
気がつけば夏が終わっていて、
いつの間にか年末が迫っていて、
「え?もうそんな時期?」と口にする自分がいた。
だけど、今の私は、
あえてその季節の移ろいに目を向けるようにしている。
小さな変化を見つけることは、
心を豊かにするための小さな習慣だと思っている。
たとえば、朝起きたときに窓を開けて風の温度を感じたり、
散歩中に道端の草花の変化に目をとめたり。
スーパーに並ぶ旬の食材を見て季節を味わったり。
そんな一つひとつが、「今の季節を生きている」という感覚につながる。
私たちはどうしても、過去のことを悔やんだり、
未来の不安に心を奪われたりしがちだ。
けれど、季節の変化に気づくことは、
「今」をしっかりと感じる練習にもなる。
空の色が少し変わったな、とか、
風が少しだけ乾いてきたな、とか。
そういうささいな違いに気づくことは、
日常に小さな彩りを加えてくれる。
今日という日を、ただ通り過ぎるのではなく、
ひとつひとつの変化を感じながら過ごしたい。
その積み重ねが、自分自身の心の軸を整えてくれると信じている。
季節の移ろいに気づける心を、これからも大切にしていきたい。
川滿憲忠
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