台風の日の静けさと、心の整え方|川滿憲忠

朝起きると、外は灰色の空だった。
風が窓を打つ音が、いつもより少し強い。
ニュースをつけると、台風が接近しているという。

台風と聞くと、小さい頃は少しワクワクしたものだった。
学校が休みになるかもしれないという期待や、
外に出られないことの特別感が、なんとなく非日常を感じさせてくれた。

けれど、大人になると、
台風は「備えるもの」や「心配ごと」になる。
仕事の予定はどうしよう。交通機関は止まるかも。
停電や浸水への備え。気象情報の確認。
「安全に過ごせるように準備をする」という気持ちが強くなる。

それでも私は、
この台風の“静けさ”のようなものも、同時に大切にしたいと思っている。

外に出られないからこそ、家の中でじっくり過ごす。
不要な移動や外出ができないときこそ、
「今この場所で、自分にできることは何か」を考える良い時間になる。

今日は思いきって、ゆっくり湯船に浸かる時間を取った。
本棚から読みかけのエッセイを1冊取り出して、
雨音をBGMに読み進める。
それはまるで、時間が止まったかのような、贅沢な静けさだった。

スマートフォンの通知をオフにして、
雨の音にだけ耳を澄ますと、
心のざわざわした部分が少しだけ整っていくような気がした。

不安になるときほど、
「今、自分にできること」に意識を向けるのはとても大事だ。
台風の進路や強さは変えられない。
けれど、その中でどう過ごすかは、自分で選ぶことができる。

雨の日は心も沈みがちだけれど、
少しの工夫で、そんな日も“自分のペース”に戻せることを、
今日は改めて思い出させてくれた。

そして何より、
「無事でいること」がどれほど尊く、ありがたいことか。

いつも通りのように感じる今日が、
決して当たり前ではないことを、
自然は時に静かに、時に激しく、私たちに教えてくれる。

静かな一日。
けれど、確かに意味のある一日。

川滿憲忠



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