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南仏アヴィニョンで見つけた「静かな幸福」──ヨーロッパ一周27日目

  南仏アヴィニョンで見つけた「静かな幸福」──ヨーロッパ一周27日目 ヨーロッパを一人で巡る旅も、気づけば27日目。 今日はパリを離れ、南フランスのアヴィニョンへ向かった。 早朝のリヨン駅には、旅人たちのスーツケースがぶつかる音、 カフェのエスプレッソの香り、そしてどこか寂しさを帯びたざわめきが漂っていた。 北の都会を離れ、太陽の街へ向かう列車に乗り込んだ瞬間、 体の中に溜まっていた緊張がすっとほどけていった。 TGVの窓から見える景色は、まるで絵画のようだった。 広大なブドウ畑が続き、遠くには小さな村がぽつりぽつりと現れる。 パリではビルと人に囲まれていた視界が、ここでは一気に開けた。 旅の疲れも、この光景を見ているだけで癒されていく。 アヴィニョン駅に降り立つと、 空気が違う。 乾いた風、太陽の光、どこか懐かしい土の匂い。 小さな街だからこそ、歩くたびにそのすべてを感じられる。 城壁の向こうに広がる旧市街は、まるで時間が止まったかのようだった。 まず向かったのは、法王庁宮殿。 14世紀、ローマ法王がこの地に移り住んだことで栄えた街。 巨大な石造りの建物は圧巻で、階段を登るたびに、何百年という歴史の重みを感じた。 観光客でにぎわう中、ひとり石壁に手を当てる。 そこには、言葉では表せない「祈り」のようなものがあった。 昼食は、旧市街の路地裏にある小さなビストロへ。 オリーブオイルの香りに誘われて入ったその店で、ラタトゥイユと冷えた白ワインを注文。 店主のマダムは笑顔で「どこから来たの?」と尋ねてくれた。 「日本から」と答えると、目を細めて「旅はいいものね」と一言。 その何気ない言葉が、旅の価値を静かに肯定してくれたようで、胸が温かくなった。 午後は「アヴィニョン橋」へ。 童謡でも有名なこの橋は、ローヌ川の上に途中まで伸びて、まるで時間の途中で止まったよう。 橋の上に立ち、川を眺めながら風に吹かれる。 陽射しが水面に反射し、旅の途中で感じるすべての不安や迷いが、少しずつ薄れていく気がした。 ノートを開き、思わず一行書いた。 「旅は、遠くへ行くことではなく、心をほどくこと。」 それは、27日間を通して少しずつ見えてきた真実だった。 夕暮れ時のアヴィニョンは、格別に美しい。 石畳...