バックパッカー東南アジア編 12日目──バンコクで感じた静寂と喧騒
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独身時代に挑んだバックパッカー東南アジア30日間の旅。12日目は、バンコクという大都市の二つの顔を全身で味わった一日でした。
朝は宿の屋上から街を見下ろすことから始まりました。縦横無尽に走るバイクやトゥクトゥク、響き渡るクラクション。街全体が脈打つようなエネルギーを放ちながらも、そのリズムに自然と体が溶け込んでいく不思議さがありました。
午前中は王宮やワット・プラケオを訪れました。黄金の装飾に囲まれた空間は、観光客で混雑しながらも厳かな雰囲気を放っており、信仰の深さと歴史の重みを感じさせてくれました。短時間ながら心が落ち着くひとときでした。
昼食は屋台のパッタイ。数十バーツという安さながら、甘辛酸のバランスが絶妙で、隣で働く人々と同じ料理を食べることに特別な喜びを覚えました。旅の醍醐味は、こうした地元の人々の日常に触れる中にあります。
午後はチャオプラヤー川をボートで移動。水上から見るバンコクは、陸路とは全く異なる表情を持っていました。川沿いの古い家屋や水上マーケットを眺めながら、近代都市と伝統的な暮らしが同居する街の奥深さに触れました。
夕方はワット・アルンへ。夕暮れに浮かび上がる塔の姿と川面に映る光は幻想的で、旅の途中でしか出会えない奇跡の瞬間のように感じられました。
夜はバックパッカーの聖地・カオサン通りへ。昼間の静寂とは打って変わり、ネオンと音楽、人々の笑い声に包まれ、世界中の旅人が集う独特の熱気がありました。ビールを片手に語り合う中で、国籍や言葉を超えて繋がれる喜びを実感しました。
12日目は、バンコクという都市の喧騒と静寂、相反する両方の側面を体験できた貴重な一日でした。混沌の中に自分なりの落ち着きを見つけること、それこそが長旅を続ける上での大切な感覚だと改めて気づかされました。
川滿憲忠