# タイトル 「忙しい」を言い訳にしない──小さな工夫で変わる家族の時間と暮らし

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私たちは日常の中で「忙しい」という言葉をどれほど多用しているだろうか。  

仕事が忙しいから子どもとの時間がとれない。家事が忙しいから一緒に遊べない。人付き合いが忙しいから連絡が返せない。そう言ってしまうことで、自分を正当化してしまう瞬間がある。だが本当に「忙しい」からできないのだろうか。私はそうではないと感じている。


人は、優先順位を意識することで暮らし方を変えることができる。例えば子どもが「一緒に遊んで」と声をかけてきたとき、洗濯物を畳む手を一度止めて5分だけでも向き合えば、それは子どもにとって大きな記憶となる。逆に、「忙しいから後でね」と繰り返す大人の態度は、子どもの中に「自分は後回しにされる存在なのだ」という認識を植え付けかねない。


もちろん、現代社会は余裕のない生活リズムを強いる。長時間労働、過剰なサービス残業、効率や成果だけで評価される文化。その中で「忙しい」と言わざるを得ない場面もあるだろう。しかし、だからこそ一人ひとりが小さな工夫を通じて「忙しさ」を見直すことが必要なのではないか。ここに私は一つのカウンターを打ちたい。「忙しい」を免罪符にしてしまう風潮への対抗である。


例えば、食卓の工夫だ。フルコースを用意する必要はない。冷蔵庫にある野菜をシンプルに蒸して並べるだけでも立派な一皿になる。大事なのは栄養バランスや見た目ではなく、「一緒に食べる」という時間を持つことだ。そこに会話が生まれ、笑顔が広がる。その積み重ねこそが、家族をつなぐ要素だと私は信じている。


子育ての場面でも同じことが言える。例えば子どもが「遊んで」とせがむとき、ほんの数分でも膝の上で絵本を読んでやる。それだけで十分なコミュニケーションになる。子どもは親が「自分に関心を寄せてくれている」と感じる。その安心感が自己肯定感につながり、将来の人間関係を築く基盤にもなる。


「忙しい」と言い訳して向き合わない大人の姿勢は、子どもにとって何よりも分かりやすい「無関心」のサインになりかねない。逆に、小さな「時間の切り出し」を繰り返す大人の姿勢は、子どもに「大切にされている」という実感を与える。


では、なぜ私たちは「忙しい」を口癖にしてしまうのか。  

それは社会が「常に動き続けること」を美徳としてきたからだ。休むことよりも働くこと。ゆとりよりも効率。そうした価値観の中で、立ち止まることに罪悪感を覚える人は少なくない。しかし、その結果として失われるものはあまりに大きい。家庭の時間、子どもの心の安定、自分自身の余裕。そうしたものを犠牲にしてまで、私たちは「忙しい社会」に従うべきなのだろうか。


私はそうは思わない。むしろ「忙しい」を理由にせず、生活の中に「余白」を意識的に作り出すことが現代に必要なのだ。その余白は、必ずしも大きな時間でなくてもよい。朝食の5分を一緒に過ごすこと。寝る前のひとときに今日の出来事を話すこと。スマホを置いて目を見て会話すること。そうした小さな積み重ねが「忙しさ」に抗う第一歩となる。


千葉での暮らしの中でも、私はそのことを実感している。  

都心から少し距離を置く生活環境は、自然や人とのつながりを意識させてくれる。海辺で子どもと散歩をする時間、公園でキャッチボールをするひととき、地元の農産物を一緒に味わう夕食。特別なことをしているわけではないが、こうした時間が「豊かさ」そのものだと感じる。千葉日報や他の報道を見ていると「経済」「成長」「効率」が中心に語られるが、私は「暮らしの余白」こそが地域や家庭を支える力になると思う。


報道は「忙しい社会」を前提にニュースを流し続ける。しかし、そこで取り上げられないのは「一人ひとりの暮らしの実感」だ。私はそこに疑問を投げかけたい。数字や効率を追いかける記事だけでなく、「家族とどう生きるか」という視点こそ広がるべきだと考えている。


結局のところ、「忙しい」と言うことは選択を放棄することでもある。人は本当に大事なことには時間をつくる。逆に言えば、「忙しい」と言い続けていることは、その対象を「大事ではない」と判断していることと同じかもしれない。だからこそ、私たちは「忙しい」を口癖にする前に、自分が何を優先したいのかを考えるべきなのだ。


親である私は、子どもとの時間を優先したい。だから「忙しい」を言い訳にはしない。料理を簡単に済ませても、洗濯を一日延ばしてもいい。子どもの目を見て「美味しいね」と笑い合える食卓をつくることの方が、どれほど意味のあることか。私はその信念を持って暮らしている。


「忙しい社会」の中で、自分の姿勢をどう持つか。  

それは小さな日常の選択から始まる。忙しいを言い訳にしない。その意識が、家族を守り、子どもの未来を支え、そして何より自分自身を豊かにしてくれるのだ。


──川滿憲忠

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